2014年05月30日

「涙の数だけ」

空から大粒の雨が降りはじめてきた。


四球と4本の長短打を浴び、4回に一挙5失点。激しい雨も、エアポケットに入ってしまったかのごとく投球に乱れが生じたのも、あのイニングだけ‥‥。今おもえば、斎藤佑樹を温かく見守っていたファンの、さながら涙雨のようにも感じられた。


西武第二球場で行われた29日のファームでの試合。先発した斎藤は6回を6失点(自責点5)と結果を残すことができなかった。前回登板で好投。手応えをつかみかけていただけに、思うところがあったのだろう。降板後、私たちの前に姿を現した斎藤はいかにも声をかけづらいオーラを全体に発し、険しい表情をしながら球場奥のダックアウトへと引きあげていった。

ボール先行で幾分不安定だった立ちあがりと、大量失点を喫した4回以外は内野ゴロの山を築いていた。先頭打者に抜けた変化球をいきなり痛打されて、今は喉から手が出るほど「結果」も欲しい彼に、多少動揺の色があったのか‥。歯止めが効かなくなって以降の打者につるべ打ちされてしまった、あの回の投球がどうしてたって悔やまれる。


復帰までの道のりを追った、先のドキュメンタリー番組の中で本人が口にしていた『プロで1勝するのは難しい』 には実感がこもっていた。またしても厳しい現実を突きつけられた恰好。‥近年の斎藤は何かこの繰り返しのように思えてきてしまう。2試合、3試合と内容も伴った投球を続けることができないのだ。

焦りからくるものなのか、技術的なことなのか、それを素人が判断するのは難しい。ただ以前に、栗山監督が『球そのものは故障する前より良い』といった旨の発言をしていたのを記憶している。たしかにこの日も力のあるストレートが随所で見受けられた。


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やはり、失いかけた「自信」を取り戻すことの方が、今の斎藤にとって一番の良薬となり得るのかも知れない。それを手にするための結果が、なんとしても欲しい‥‥。あの時見せた険しい顔は、続けてアピールすることができないもどかしさ、自分自身に対する苛立ちの表れだったのではないか...


栗山監督が今年、こんな言葉も口にしていた。『佑樹が必要となる時は必ず来る。今年、ウチが優勝するためにはあいつが復活してチームに感動を与えてくれることが不可欠』。いわば開幕投手として輝きを放った2012年のときと、まったく逆の図式と考えればいい。あとになって“感動”が訪れるのも、たしかに目には見えない力をチームに与えてくれそうだ。

ペナント最終盤に同じく故障から復帰した荒木大輔の力投に多くの者が感動をし、リーグ優勝に向けて突っ走っていった1992年のヤクルトを思い起こさせる。奇しくも同投手は早実の大先輩だ。


待っている人がいる。待って、くれてる人がいる...


私も好きな「TOMORROW」という、岡本真夜の曲にはこういったフレーズがある。失意の斎藤佑樹にそのまま届けたくなるような歌詞の一部を、最後に記しておこう。


抱きしめてる思い出とかプライドとか捨てたら またいい事あるから

涙の数だけ強くなろうよ 風に揺れている花のように
自分をそのまま信じていてね 明日は来るよ どんな時も


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ラベル:斎藤佑樹
posted by 羽夢 at 19:27 | TrackBack(0) | FSコラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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