楽天イーグルス。根っから嫌いな球団ではなかったし、パ・リーグ(の存続)を救ってくれた恩もある。ただ、素直に『日本一おめでとう』の言葉を、かけてあげられなかった。
地元・札幌ドームでは楽天相手にとうとう一度も勝利を収めることができず、また、エースの田中将大ひとりに8勝(もちろん負けなし)も献上してしまう屈辱。‥なにか8勝16敗という、年間の対戦成績以上に、今年のファイターズはコテンパンにやられたイメージが根強い。だから、心からの祝福をする気には、とてもじゃないがなれなかった。
“楽天系”の記事を避けるようにしていた今オフ‥。しかし、その楽天にかんするビッグなニュースが、いやがおうにも私の目に飛び込んできた。ケビン・ユーキリスを獲得?メジャー通算150発の超大物。ハンクアーロン賞の受賞経験有りの経歴には正直焦った。ファイターズの前に、またしても新たな「強敵」が立ちはだかることになるのか...
昨オフもメジャー400発男のアンドリュー・ジョーンズが加わっている。たしかに優勝争いが佳境に入った中での活躍に、インパクトはあった。それまでチームにはなかった「一発」の力を魅せつけてくれたのも事実だろう。しかし、それはあくまで楽天というチーム内での話だ。
打率.243、本塁打26、打点94‥‥いたって“並”の数字ではないか。いずれの部門もファイターズのミチェル・アブレイユを下回っている。打率こそジョーンズよりは高かったが、年俸1億のケーシー・マギーもまたしかり。
“大物”でありながら真面目に(?)143試合も出場と、本業以外でもたらしてくれた好影響というのもあるかもしれないが、筆者は1年を通してこの球団をずっと見続けてきたわけではないので、その辺のことはよく知らない。ただ、残した数字だけをみればコストバフォーマンスが良かったとは、お世辞でもいえないはずだ。
『いや、金では買えない日本一という栄冠を、彼はチームに運んできてくれたではないか』 とみる人も中にはいるだろう。しかし傍からみていて楽天打線で脅威を抱いたのは164三振のジョーンズよりも、銀次や岡島、桝田といった勢いのある、俗にいう「星野チルドレン」の方だ。高い億単位の金を払って連れてきた、元メジャーリーガー達では、決してない。
“代わり”に入る34歳のユーキリスが今シーズンのマギー以上の成績を残すのは、なかなか難しいのではないか。良くてプラマイ0だ。したがって、打線にかんしてはそこまで恐れることはない。ファイターズファンが一番恐れているのはむしろ、エースの“残留”の方だろう。
矛盾しているようだが、話題づくりは大いに結構。‥‥実をいえばファイターズにはできない(やらない)メジャーの猛者を悠然と招ける、楽天球団の資金力を僻んでいた。『おめでとう』を云えなかった件といい、この“懐の狭さ”は、私も来年何とかしないといけない。
ラベル:ケビン・ユーキリス