2013年08月12日

私の“8月12日”

親父が嫌いでした...


たまに実家へ帰っても歓迎をしてくれない、ただ感情表現の仕方が下手なだけなのかもしれないけれど、でも私はそんな親父が嫌いでした。

たまたまその日、すごく落ち込んでいて‥
『オヤジなんかいなくなってしまえばいい』 そんな風に思っていたんです。


不思議ですね。そういうときに限って、まるで何かに導かれるように手に取った一冊の本が親と子、それぞれの「父と息子」について書かれた本でした。

門田隆将さん著 「風にそよぐ墓標 −父と息子の日航機墜落事故−」


風にそよぐ墓標−父と息子の日航機墜落事故−


520名もの尊い命を奪った、1985年の日航ジャンボ機墜落事故。
犠牲者である父とその息子、6家族の事故当日、前後の人間模様を綿密な取材をもとに門田さんが書き記した本です。

実は前から事故については色々と調べていて、当初は墜落原因などについて関心を持っていたのですが、次第に私の目は乗客や遺族たちの心情の方に向けられていきました。したがって、本書で取りあげられた遺族のほとんどの方々の名は、以前から耳にしています。

あらためて驚いたのはこのうちの半分にあたる3家族の犠牲者が、様々な事情で乗る予定のなかった123便に、たまたま乗り合わせてしまったということ。読んでもらえれば分かるのですが、本当に「偶然」が生んだ悲劇としかいいようがありません。


1章に登場してくる遺族が云っていました。布団がダッチロールして浮き、そして落ちていく夢。犠牲となった、親父が見せている夢なのではないか...

異常なダッチロール・フゴイドを繰り返す機内。まともな飛行すらできていない状態が32分間も続いたそうです。逃げ場もなく、どうしようもなかった乗客たちは何を思い、考えていたのか。私たちが想像することすらできないような空間が、そこにはあったのです。

中には死を悟り、自分の愛する者に向けた遺書をしたためる者や何か記録に残そうと、カメラを手にした者。限られてしまった時間の中で「生きた証」を残そうと必死でした。本書で取りあげられた遺族はこれらが残された者に“届いた”分だけ、まだ幸せな方だったかもしれません。


遺族側からの視点に立った関連書籍は過去に何冊か目を通してきましたが、今までのものとは違う切り口でした。おそらく門田氏が云う、「男たちが語っている」 からなのでしょう。たしかにこの件について男性が口を開いたケースはそれほど多くはなかったと、記憶しています。

最終章、遺体を検視をされた歯科医の話があります。亡くなられたお父様も歯科医。父の意思を継いだ息子2人。自らも遺族でありながら、それこそ命を削る思いで検視の役割をまっとうされた姿に、深い人間の「愛」を感じます。そして‥‥お父様との悲しき、嬉し涙の対面をはたしたあと、息子らはある決断をします...


本を読み終え、私は自分を情けなく思いました。
肉親ですら快く思っていなかった、その感情に対して‥‥

親父からの愛情を感じることは、今でもありません。それでも生があるうちに、やはり自分の親とはきちんと向き合わっていかなければなりませんね。

後悔してしまう日が、いつやってくるかもわからない。
人間なんて無力で本当にちっぽけな生き物なのだから。

今度田舎に帰省する際は、ブランデーを1本多く、持っていこう。


◆これは以前私が某所で書いていた記事を加筆・修正して再録させたものです。試合のない月曜日‥当初はドラフト関連の記事でも書こうと思っていたのですが、急きょ予定を変更しました。理由はマリーンズに在籍する神戸拓光選手が12日、ご自身のブログにしたためた「茜雲 -あかねぐも-」に深い感銘を受けたためです。

プロ野球選手、ましてや現役の野球選手があの忌まわしい事故をあれほどまでに深く考えておられたことに、まず驚きました。そこで筆者も今一度28年前の大惨事を思い、今記事に至った次第です。

茜雲」は遺族の方が亡くなった方や日航に対する想いを綴った詩集なんですよね。私も読みましたが、母親を亡くされた娘さん話。涙が止みませんでした...

誠に神戸選手にはお礼いいたいです。決して風化させてはならない、大事故でしたからね。球団の垣根を超えて一気にファンになりました。これからも(ハム戦以外で 笑)頑張ってください◆

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posted by 羽夢 at 23:55| Comment(2) | TrackBack(0) | 羽夢日誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは。
興味深く読ませていただきました。事故当時、私は小6でした。野球関連の調べものをしている最中に日航関連の記事を目に。以来、私も各紙読みあさったこともありました。

門田さんは日航関連でも本を出されていたんですね。今度読んでみます。

「太平洋戦争 最後の証言」(全三巻)、命の尊さを改めて考えさせられる、門田さんの名著です。
Posted by EILEEN at 2013年08月15日 10:38
>EILEENさん

こちらの「風にそよぐ墓標」。私はすべてを読み終えるのに3時間近く要してしまいました。重厚な内容で読むのにとてもエネルギーのいる本です。

実は自分も本格的に調べだしたのは神戸選手と同じように2000年頃からなのですが、あのときは衝撃を覚えましたねぇ。なによりも突然姿を現した、あの「ボイスレコーダー」には。機内での緊迫したやり取りが切々と伝わってきて、“文字”だけではなかなか伝わってこなかった部分でもありましたので。

当時はかつてEILEENさんも通っていた某資料室?へ、事故の資料を漁りに、何度も足を運んだことを覚えています。
Posted by 羽夢 at 2013年08月16日 10:24

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