2013年02月19日

プレイバック 【キャンプリポート1981】

ファンが受けた衝撃の大きさは、今回の糸井嘉男のときと、同じくらいあったのでしょうか...


1980年のオフ、ファイターズはおもいきったトレードを敢行していました。それまで二桁勝利7度の実績をほこっていた大黒柱・高橋直樹投手を放出し、前年の日本シリーズで奇跡的なリリーフをみせた江夏豊投手を広島から獲得するという、主力選手‥いや、スター選手同士の電撃トレード。

どうなんでしょう‥。筆者がまだ物心つく前に起きた出来ごとでしたので、推測でしかありませんが、日ハム・広島両チームのファンは当時、かなり複雑な心境を抱かれていたことと思います。



enatsu.yutaka1981.2.jpg
1981年2月15日【朝日新聞】スポーツ13版より


記事をよく読んでみると、江夏投手の獲得の背景には戦力面以外に、大沢啓二監督(当時)の様々な思惑も働いていたようですね。

【「先発型は一人減ったけど、高橋直の代わりはなんぼでもいる。ウチにとってプラスの方がはるかに大きいよ」と大沢監督。戦力的なそろばん勘定はやってみなければ分からない要素もあるが、他の選手に与えている心理的な影響を考えた場合、効果十分のトレードだったようだ】 ※原文ママ


なるほど‥と。トレードではありませんでしたが、巨人を自由契約になった落合博満選手に手を差し伸べた際にも、同様な期待を寄せていたという話を訊いたことがあります。気になったのは、さらにそのあとの記述...

【阪神、南海、広島とつねにゴタゴタが絶えなかった江夏だが、けん制プレーの時などは、投げ方やタイミングを他の投手にアドバイスするなど、積極的にチームにとけこもうとする姿勢がうかがわれる】 ※同上


周囲からは『一匹狼』と呼ばれ続けてきた孤高の左腕‥‥。意外な一面が見れた気がします。発展途上だったチームにおいて、とくに若手選手は江夏投手からのアドバイスにずいぶんと刺激を受けたでしょう。

それにしても‥‥のちの日本ハム退団時、そのあと在籍した西武をのときも、江夏投手にとっては決して気持ちの良い“去り方”ではなかったはず。プレーヤーとして数々の伝説を打ち立ててきた同投手も、ここだけはどうしても免れない「運命」だった、今はそう思えてなりません。


【その江夏は、キャンプインと同時にトレーニングを始めたため、まだ体づくりの段階。ピッチングも本格的にはやっていない。しかし、八割方は他の投手と同じ練習をこなすようになってきおり、マイペースながら仕上がりはうまくいっているようだ】 ※同上


『ははーん』と、納得。トレードのゴタゴタもあったせいか、いくぶん調整が遅れていたのですね。この年、江夏投手は開幕直後に立て続けリリーフに失敗するなど、前半戦はあまり調子がよくなかったのです。トレード実現に向けて奔走した大沢監督もさぞかし心配されていたでしょうけど、ただ、後半には復活してMVPまでさらっています。


1981年は江夏投手を獲得したファイターズがリーグ優勝を遂げ、一方のカープは3連覇を逃すといった、結果的には明と暗が分かれる形となってしまいました。当時の記事を目にし、あらためてトレードの裏側の部分や、移籍によってチーム内に与えてくれた「効果」といったものも知ることができて、あのトレードの見方がまた少し、変わった気もします。

今オフのオリックス球団との間で成立した大型トレードも、背景などを調べてみると奥は深そうな気配ですね。何年後かに両球団がどんなドラマを生んで、そのとき私は一体、なにを語っているのか‥今は想像すらできません。


≪関連≫
Newcomer 大引啓次
野球カード語り -伝説のサウスポー-




posted by 羽夢 at 22:08| Comment(0) | TrackBack(0) | FS特別企画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。