2012年09月03日

【今、覚醒のとき】 中村勝

【埼玉のダルビッシュ】から、よく2人の投手を連想してしまうことがあった。デビュー戦でいきなり勝利投手となり、2戦目でも白星を手にする高卒ルーキーだったころの、矢野諭。プロ野球生活であげた勝ち星が、まさかこの2勝のみで終わってしまうなんて、あの当時は誰も想像していなかったと思うが、彼のケースならまだ良い方だ。

デビュー戦でこそメッタ打ちにあいながらも、その後周囲が驚くような好投を幾度か展開するのに、たまたま打線の援護に恵まれなかったことによって、ファイターズではとうとう一度も勝てなかった、悲運の左腕・須永英輝

矢野と同じく高卒デビュー戦で勝利を飾り、昨シーズンから今季にかけて圧巻の投球を披露しているのにも関わらず、なかなか自身の勝ち星に結び付かなかった様は、まるでうめいていた時期の須永のよう‥。埼玉県では須永が出た浦和学院とともに、甲子園出場をかけて毎年凌ぎを削っている春日部共栄高卒の中村勝が、その分厚い殻を打ち破るためには、なんとしても“プロ2勝目”を自力で手繰り寄せなければならなかった。


開幕前から「ポストダルビッシュ」の一番手と目されていた中村。しかし、春季キャンプ中からの不調がたたって開幕は2軍で迎える。序盤戦こそローテの一角に入り好投をみせていたが、徐々に打ちこまれてしまうシーン多く見られるようになった。1軍昇格前までの中村の成績は、実はあまり芳しくない。防御率も5点台であり、勝ち星も3勝にとどまっている。

それでも開幕投手を務めた斎藤佑樹のファーム降格などの要因によって、巡ってきた1軍ローテの座。この千載一遇のチャンスに初登板となった8月5日の楽天戦では5回途中まで2失点と、及第点の内容を残して、次に繋げる。


‥兆しはあった。7月のフレッシュオールスターでイ軍の先発を務めた中村が2回を完璧に封じ、優秀選手賞を受賞する快投を見せたのだ。それも打者6人から5三振を奪う圧倒的な内容。監督以下首脳陣に、その存在を強烈にアピールしたとともに、中村自身何かつかむものもあったかもしれない。


3試合目となった楽天戦は気の毒としかいいようがなかった。自身最多となる7回を投げ切り【被安打2】【無四球】【失点0】と、文句の付けようのない投球をしているのに、なのに勝てない‥。無論、打線の援護がなかったため。相手エースの田中将大と互角に投げ合えたことは十分評価に値するが、この時点で私にはまだ須永の「幻影」がチラついていた。


そして、4試合目の登板となった9月2日の福岡ソフトバンク戦。初回に先制を許すも、終始落ち着いていた。力のあるストレートで押しきり、ときに良くブレーキのきいたカーブで相手打線を翻弄してゆく姿は“本家”ダルビッシュ有と重なってみえる部分もあった。

千葉でのプロデビュー戦で1塁を守り、声をかけてくれていた兄貴分・中田翔が一発を放ち、大量ではないながらも、ようやく援護もしてもらえた。リードを保ってまま後続に託し、自力でつかみ取った約2年ぶりのプロ2勝目...

そういえば今季、同じように長いトンネルを抜けた吉川光夫が、何かから解き放たれたように、白星街道を突き進んでいる。入団時から「ダル並のポテンシャルを持つ」と言われた現在20才の中村勝も、この勝利をきっかけに【覚醒】していく可能性だって十分にありうる。

投げるたびによくなってゆく背番号「36」が、今後どんな投球をまた我々に見せてくれるのか、本当に興味は尽きない。






posted by 羽夢 at 00:40| Comment(0) | TrackBack(0) | FSコラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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