2012年03月05日

永遠の一球 -甲子園優勝投手のその後-

4日の札幌ドーム、東京ヤクルト戦。NPBに戻ってきた正田樹投手が登板したようですね。なんでも実際に同球場のマウンドに上がり、打者に向かって投げたのはファイターズに在籍していた2005年以来なんだとか。これには本人も感慨深いものがあったでしょうね。同じく以前ファイターズに在籍していた木下達夫投手も登板したそうですし、小川監督の粋な計らいに、さぞスタンドも湧いたことでしょう。


試合を観戦できなかった私は先週末、移動時間の退屈しのぎに読書をしていたのですが、偶然にもその本には正田が歩んできた野球人生が書かれていました。「永遠の一球 -甲子園優勝投手のその後-」。 タイトルの通り、かつて甲子園で頂点を極めた投手たちの“その後”が描かれています。


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本書で取り上げられているのは以下の選手です。

1980年優勝  愛甲猛 (横浜高→ロッテ→中日)
1974年優勝  土屋正勝 (銚子商→中日→ロッテ)
1989年優勝  吉岡雄二 (帝京高→巨人→近鉄→楽天)
1982年優勝  畠山準 (池田高→南海→横浜)
1999年優勝  正田樹 (桐生第一高→日本ハム→阪神→興農)
1984年優勝  石田文樹 (取手第二高→日本石油→大洋)
1991年準優勝 大野倫 (沖縄水産高→九州共立大→巨人→ダイエー)
※右は出身校とその後の主な球歴


ご覧のように大野倫さんだけが準優勝投手なのですが、この方も甲子園でのエピソードには事欠きませんからね。順当な“ノミネート”といえるでしょう。この手の関連本によく登場してくる正田。ファイターズ退団後は自由契約あり、台湾球界に渡ったりと、わりと波乱万丈の野球人生を歩んでいてその時の心情なども記されています。優勝投手の「肩書き」以外に、松坂大輔とダブらせていた周囲の視線やプロ入りの後のファイターズとタイガースでの“扱われ方”の違いに、苦悩していた時期もあったそう。松坂とは容姿が似ていたことで優勝時、ちょっとした話題になっていた記憶がありました。不思議とプロに入ってからはほとんど言われなくなりましたけど、やはり私の“記憶違い”ではなかったようです。


横浜高の愛甲投手や甲子園で江川卓に投げ勝った土屋投手はけっこう有名ですよね。特に愛甲さんは自分の半生を綴った本も出してますし。土屋さんはロッテ在籍時の話が大変興味深いものでした。吉岡雄二さんの項は読んでいると 『あぁ..この人は本当に野球が好きなんだぁ』 というのがしんみりと伝わってきます。楽天退団後に単身で渡ったメキシコでの生活・現地の人との交流話は心が温まります。


筆者が特に関心を持ったのは池田高の畠山準さんと取手二高の石田文樹さんについて。両投手が甲子園で輝いていたシーンは私もまだ幼かったので、リアルタイムでは見ていないのですが、この近辺の時期の「高校野球」って相当な盛り上がりをみせていたそうですね。愛甲と決勝で投げ合った荒木大輔、その荒木を打ち崩した池田打線。池田を負かした全盛時代のPL学園に勝ったことのある、取手二高‥

本書にでてきた球児たちが複雑に繋がっており、ある種の「ドラマ性」を感じました。84年夏の決勝で敗れた1学年下の桑田真澄が石田さんの家を訪れにきたというエピソード、早稲田大を中退していたという事実も初めて知りました。そして壮絶だった闘病生活も‥。 取手二高のような自由奔放(すぎる)チームは、もう甲子園では見ることも叶わないと思います。石田文樹さんのご冥福をお祈りいたします。


畠山さんはベイスターズ時代、中心選手として活躍していたのをよく拝見していました。投手をされていた池田時代をみたくなり、さっそく当時の映像を確認してみました。本の中にもありますが、堀内恒夫似のダイナミックな投球フォーム!いかにも「本格派投手」の姿がそこにありました。打線が超重量級なら、エースも豪快な“池田らしさ”があって、なんかいいですよね。野球漫画みたいな夢があって。

プロ入り後になかなか芽がでなくて腐りかけそうになったとき、指導者を含めて『周りの人たちに恵まれた』と何度もおっしゃっていました。色々な噂が飛び交っていましたけど、ダイエー・田淵監督と畠山さんご本人との“やり取り”もここで知ることができます。「リストラの星」とも一時期呼ばれていましたが、 ここではそういった野球面以外で気づかされることも多いです。


それでは本書で印象に残った文章を最後に。

【この甲子園優勝投手に対してここぞとばかりマスコミは“不運”“悲運”の活字を躍らせる。輝かしい栄光に陰りが見え始めてきたときこそ、“不運”“悲運”が逆にクローズアップされるからだ】 ※P143

マスコミが“その後”をどんなに面白おかしく書き立てようとも、私たち野球ファンにとって【甲子園優勝投手】たちの栄光の記憶が色あせることは決してありません。だから、“その後”にどんな困難が待ち受けようとも、優勝投手の名を誇りに感じて、負けずに乗り越えていってくれるのを、切に願います。




posted by 羽夢 at 15:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 野球雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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