2011年03月28日

金石昭人 【野球漫画の世界】

サヨナラ満塁本塁打の北川博敏やスレッジ、あるいはプロ初登板でノーヒット・ノーランの快投を演じた近藤真一も、まるで野球漫画の中の世界だったが、漫画家でもなかなか思いつかないような劇的野球を、かつて見たことがある。

 
真夏の倉敷、雨中のダイエーホークス戦。ファイターズ1点リードで最終回の守り。塁上にはすべての走者が埋まり、打席には強打者の秋山幸二。マウンド上は身長197センチの右腕、金石昭人がそびえ立っていた。カウントは2-3。次に投じる1球が恐らくこの試合の勝敗を大きく左右するのは間違いない。そう、あと一球‥

【1点リード、9回裏1死満塁、カウント2-3】

漫画でも十分な見せ場になる、このシチュエーション。しかし、現実にはまだ続きがあった。金石にふりかかった更なる試練‥

降りしきる雨が一段と強くなってきた。秋山の打席、フルカウントを迎えたところで審判団の協議により、試合が中断されたのだ。

ベンチからただ見つめるグラウンド。両軍ナイン、様々な思惑が交錯していたのは容易に想像できる。結局、中断時間は17分にも及んだ。この間、金石・秋山の「当事者」にはきっと何時間にも感じられたに違いない。それこそスポーツライターの山際淳司なら格好の餌となりそうな心理戦の展開、勝負の綾‥「17分間」

リリーフ投手はハートは実に繊細だ。中断中の間、金石は集中力を保ち続けていられたのか、よく我々が耳にする、いかにして「気持ちを切らさずにいたのか」一番気になる部分だ。さらには再開後にどんな球を放り、秋山幸二をどう打ち取り、試合に勝って終わらせる術。もう一球の失投も許されないこの難局。金石は何を考えていたのか‥


天の無情な演出。しかし、山際氏も思わず拍子抜けしそうなほど、金石は「」だった。

『別に、何も。余計なことを考え出すと悪い方にいっちゃうからね』

カウント2−3での投手・打者の精神的な優位さは五分五分とも訊くが、押し出しの恐れのある投手の方が幾分追い込まれている気分にもなるだろう。それでも金石は無心でいた。捕手・山下和彦の要求はスライダー。もう後戻りのできない「無」の金石が山下のミットを目がけて投げ込んだ!


「しまった」いかにもこんな心の中の声が聞こえてきそうな、秋山はスライダーを引っかけ、おあつらえ向きのセカンドゴロ、併殺。試合終了。ファイターズは1点差を守りきった。仮にホークスサイドの【あの中断がなかったら‥】これは言うまい。筋書きにはない野球漫画のような試合のなかで、金石は堂々と主役を張ってみせた。いや、飄々と‥の方が金石にはしっくりくるかもしれない。



※1995.8/3 対ホークス21回戦より 【参照】ガイドブック1996

(秘)金石VS東北楽天・松井稼頭央(西武時代2年目!)

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大投手・金田正一の甥としても有名な金石は1992年に広島から移籍。当時の広島は投手王国でそれほど目立った存在というわけでもなかったが(日本シリーズでホームランを放ったり、クロマティに敬遠球を打たれたり、時たま凄いことをしでかす)ファイターズでは「主力」を満喫。移籍初年度に自己最多の14勝をマークすると、翌年からストッパー役に転向。以後、4年間で積み上げたセーブ数は76。決め球のフォークを武器に防御率も2点台前半と安定していた。大島康徳同様、金石もトレード生き返り、ファイターズにきて野球人生を延ばした一人とも云える。


a.kaneishi
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この記事へのコメント
羽夢さんこんばんは。

映像の金石投手、高身長と豪快なフォームのせいか凄い威圧感があるように見えますね。そして球の力も凄く感じます。
そしてエピソードからも解る強心臓とくれば、抑え投手として活躍できたのも頷けます。
Posted by やましょう at 2011年03月30日 01:32
やましょうさん、いつもありがとうございます。

当時私は金石投手が抑えを務めることに内心は「?」でした。なぜなら抑え投手のイメージというか、私の中での理想像が三振を狙って奪えるような本格派タイプの投手だったからです。フォークがあるとはいえ、金石投手はどちらかといえばそれに当てはまるタイプの投手ではなかったですよね。でも何も「三者三振」で帰ってくるのだけが守護神の在り方ではない!それを教えてくれたのが金石投手でした。

そうですね。強心臓!抑えをやるにはこれが一番重要な要素かもしれませんね。いちいちピンチで動じてるようでは務まりませんし。長冨との元カープリレーもなかなか乙でしたね^^
Posted by 羽夢 at 2011年03月30日 21:39
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